2012年10月20日土曜日

「中産層別曲シンドローム」現象

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朝鮮日報 記事入力 : 2012/10/20 12:18
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/20/2012102000550.html

SNS上に広がる、各国中産層の基準 

 「先進国の中産層は精神的な部分が基準になっているのに、韓国は全てお金の話ばかりですね。
 何だか寂しい気がします」

 最近、簡易投稿ブログ「ツイッター」やスマートフォン(多機能携帯電話端末)向けメッセンジャーアプリ「カカオトーク」などのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で「中産層別曲」という文章が急速に広まっている。
 特に40-50代会社員の間で話題になっているもので、米国や英国、フランス中産層の基準と韓国中産層の基準を比較する内容になっている。

 内容を読むと、韓国の中産層の基準は物質的・経済的部分に偏っているが、先進国の中産層の基準は精神的・社会的部分に重点を置いており、明らかに対照的だ。
 韓国の中産層の基準はまず
 「30坪(約100平方メートル)以上のマンションを持っていること」
となっている。
 それに対し、米国の中産層の基準
 「堂々と自分の主張を述べること」
 「社会的弱者を支援すること」
 「否定と違法に抵抗するすべを知ること」
 「定期的に購読する批評誌があること」
の四つだ。
 英国もほぼ同じ。

 フランスの中産層の基準は、ジョルジュ・ポンピドゥー元大統領が示した「生活の質」公約の内容に準じたものになっている。
 フランス以外、こうした文章に出てくる基準は全て真偽不明だ。
 英国と米国大使館は
 「初めて聞く基準。現在のところ、その基準を証明する資料はない」
と話す。
 韓国の基準も確実に一致する調査結果はない。

 それでもこうした文章は今年7月ごろからSNS上で急速に広まり、「中産層別曲シンドローム」とも言える現象になっている。
 これまでにネットユーザーたちがこの文章をネット上に引用・拡散した回数だけでも数万件に達するほどだ。
 ソウル大学社会学科のイ・ジェヨル教授は
 「ソース(出どころ)も不明で、単純比較が難しいテーマについて書かれた文章が注目を浴びているのは、経済状況が厳しいため自分を中産層に属すると考える韓国人が少なくなり、それだけ中産層に対する関心が高まった現実が反映されているのだろう。
 特に、中産層というテーマについて韓国社会を構成する人々が何を渇望しているかが反映されている」
と話す。

 そうした中、この文章のソースは2007年に労働団体幹部が寄稿したコラムだということが分かった。
 この幹部は
 「英国の基準は朝鮮日報の『イ・ギュテ・コーナー』で見たものを書き移したもの、フランスのはほかの本で読んだものを引用した」
と話している。
 この幹部が引用したフランスの基準は実際のものとは一部異なるが、その異なる部分までそっくりそのまま「中産層別曲」に含まれている。
 ポンピドゥー大統領が提示した基準には
 「社会悪に対し憤りを感じる」
 「弱者を支援しボランティア活動をする」
という内容はなく、その代わりに
 「子どもたちが高校を卒業したら自立させること」
など四つの基準がある。

 この文章が話題になると「自分独自の中産層基準」を作る人も続々と現れ始めた。
 あるネットユーザーは
 「まず家族全員が楽しめるスポーツを見つけ、口で言うばかりだった楽器を習ってみることにした。
 うちの家族の『中産層基準』を一つ一つ作っていきたい」
と書いている。
 別のネットユーザーは
 「時間ができたら旅行をすること、
 結果よりプロセスを重視すること、
 スポーツや楽器を一つ以上こなすこと、
 定期的に進歩系・保守系の雑誌や新聞を購読すること、
 ユーモア感覚を持つこと、
 いつも本と接すること」
を挙げた。
 各ポータルサイトにはこうした文章が数十件以上掲載されている。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/10/22 14:29
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/22/2012102201393.html

【萬物相】中産層の幸せとは   

 米国人は年間所得が7万5000ドル(約600万円)くらいなのが一番幸せだという。
 米国プリンストン大学研究チームが昨年、45万人を対象にした世論調査を分析して得た結論だ。
 研究チームは
 「金をたくさん使うほど大きな幸せを感じるというわけではない」
と話している。
 人は高い金を払って手に入れた物でもすぐに飽きるからだ。
 とてつもない金額で豪邸を購入しても、うれしいのは最初の1カ月だけだ。
 翌月からはただ体を横たえるだけの「普通の家」と同じになる。
 研究チームは
 「年7万5000ドル程度稼ぎ、家族・友人と余暇を過ごす人ほど幸せだ」
と結論付けている。

 米国イリノイ大学のエド・ディーナー心理学部名誉教授は
 「韓国人の低い幸福感は行き過ぎた物質主義のせい
と語った。
 130カ国を対象に調査したところ、
  韓国は米国や日本に比べ物質的価値の影響を大きく受けていた
という。
 米国や日本では、人間関係を深め、何か新しいことを学ぶのに挑戦、人生の意義や目的を明確に認識し、一日の生活に満足するすべを知ることで幸せはやって来る
というのだ。
 しかし、韓国人はお金を幸せの絶対前提条件としていることが多いという。
 同名誉教授は
 「韓国がさらに金持ち国になったとしても、このままいけば韓国人は心にみなぎる喜びや余裕を享受できない
と語った。

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で最近「中産層別曲」という文章が広まっている。
 世界各国の中産層の基準を思い付くままにまとめたものだ。
 韓国の中産層の基準は
 「ローンがない30坪(約100平方メートル)以上のマンションを持っている」
 「月給500万ウォン(約36万円)以上」
 「2000cc以上の中型車を持っている」
 「銀行預金残高が1億ウォン(約720万円)以上ある」
 「年に1回以上、海外旅行をする」
となっている。
 こうした経済的な余裕を楽しむのが難しい世の中だからこそ、より所得や生活状況を示す統計の数字に左右されるのかもしれない。
 今年8月に行われたアンケート調査では、約50%が
 「中産層ではなく、低所得層」
と回答するほど「相対的剥奪感」を感じる人が増えている。

 「中産層別曲」ではフランスのジョルジュ・ポンピドー元大統領が1970年代初めに提示した「生活の質」の基準も紹介している。
 1種類以上の外国語や楽器を身に付け、スポーツを楽しみ、子どもを高校まで通わせて自立させるというものだ。
 「外国語が分からない人は母国語も分からない」
という言葉がある。
 楽器は煩わしい日常から抜け出させ、自分自身の内面へと集中させてくれる。

 心理学では人間の欲求には段階があるとし、「生理的欲求」の充足が最も基本的な段階だとしている。
 韓国社会はその段階を過ぎ、「安全への欲求」「社会的欲求」「自我欲求」を経て「自己実現欲求」の段階へと向かっている。

 中産層の文化は生存の段階を過ぎ、自我自尊の高さを指向する。
 それなのに韓国人は今も幸せの度合いを金額で測ろうとしている。
 幸せは目に見える数字ではない。
 心の温度計の目盛りが上がらなければ感じられないのが幸せだ。





【おもしろ韓国】




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