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● 鉄鋼大手ポスコが不況を受け売却を決めた流通部門の店舗。
左からベトナム・ホーチミン市のダイアモンド・プラザ、慶尚南道昌原市の大宇百貨店、釜山市のセントラル・スクエア
少し前までは日本企業を抜いたと大見得えを切っていた韓国企業だが、このとこころなりふりかまわずになってきた。
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朝鮮日報 記事入力 : 2012/10/30 10:17
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/30/2012103000796.html
韓国の大企業が相次ぎ資産売却
「カネになるものは売れ」
5年間で系列企業倍増させたツケ
SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長が最近開いた役員会は深刻なムードだった。
崔会長は「投資をするなら利益を出さなければならない。
あと2-3年だけ待つ」と語ったという。
半導体不況でSKハイニックスの赤字が膨らんでいることを念頭に置いた発言だ。
SK関係者は
「決定事項ではないが、グループレベルでの構造調整を検討している点は間違いない」
と認めた。
景気低迷が長期化し、韓国の大企業の一部が本格的に構造調整に向けた検討を開始した。
ポスコはこのほど、系列会社が保有する商業施設であるベトナム・ホーチミン市「ダイヤモンド・プラザ」、慶尚南道昌原市の大宇百貨店、釜山市の「セントラル・スクエア」を一括売却することを決めた。
大企業が構造調整に乗り出した背景には、不況による直接的な影響もあるが、これまで無秩序に系列会社を増やす放漫経営を行ってきたツケが回ってきた側面もある。
韓国の大企業は2008年に世界的な金融危機が起きた際にも構造調整をほとんど行わなかった。
むしろ金融危機直後に中国が4兆元(約51兆円)規模の景気対策を実施し、中国特需で高成長を遂げた。
10大企業グループの系列企業数は2007年の364社から今年には638社へとほぼ倍増した。
新たに設立された系列企業には、新成長分野を探るために不可欠な投資もあったが、相当数は経営規模を拡大するための投資で、「たこ足拡張」との批判を浴びた。
しかし、欧州財政危機が長期化し、中国もこれまでのような8%以上の高成長が望めなくなる中、放漫経営が業績の足かせとなった格好だ。
財界関係者は「サムスン、現代自動車など一部企業を除けば、韓国企業が一斉に構造調整に乗り出している状況だ」と語った。
■社屋など売却し現金確保
企業の構造調整はさまざまな形で進められている。
今年上半期に入り、一部企業は財務状況を改善するため、カネになる資産を手当たり次第に現金化している。
こうした企業は過去数年にわたり、攻撃的に経営規模を拡大してきた。
現代グループは今年8月、ソウル市鍾路区蓮池洞の社屋をコラムコ資産運用に2262億ウォン(約164億円)で売却し、社屋のリースバックを受けた。
売却代金は系列各社が同社屋を購入した際の出資分に応じて回収していった。
社屋だけでなく、営業店舗や工場を売却し、現金を確保する企業も増えている。
CJグループは先月、CJ第一製糖の小麦粉工場(慶尚南道梁山市)とCJ GLSの物流センター3カ所(忠清北道沃川郡・清原郡、慶尚北道慶山市)、CJシステムズのITセンター(仁川市松島)などを売却した上でリースバックを受ける形で、1500億ウォン(約109億円)の現金を確保した。
CJグループは
「大韓通運の買収で1兆ウォン(約727億円)の資金を使ったため、キャッシュフローを確保することが目的だ」
と説明した。
内需低迷にあえぐホームプラスもソウル永登浦店など4店舗を売却した。
STXグループは系列企業の売却を選択。
経営権を維持する条件で、日本のオリックスにSTXエナジーの株式49%を売却する方針だ。
■系列企業の吸収合併で組織スリム化
系列会社間の吸収合併を選択する企業もある。
ロッテはロッテショッピング、ロッテ美都波を合併させたのに続き、来年初めまでに系列会社の合併を3-4件進める予定だ。
世界的な景気低迷で経営環境が悪化していることを受けた措置だ。
系列企業の湖南石油化学は年内にKPケミカルを合併する。
STXグループはSTXメタルとSTX重工業の合併を決め、CJグループも宅配事業のCJ GLSとCJ大韓通運の合併で経営の効率化を図る計画だ。
しかし、大企業中心の構造調整は連鎖的に雇用情勢の悪化、内需の冷え込みにつながる懸念もある。
系列企業の吸収合併はグループ内の組織の重複をなくすことが狙いで、人員削減が避けられないためだ。
財界関係者は
「年末に示される解雇者リストが怖い」
と話した。
延世大経営専門大学院の朴尚用(パク・サンヨン)院長は
「大企業の構造調整は国家経済全体の景気低迷を加速させる悪循環をもたらすことがあり得る。
大企業の緊縮経営は中小企業、中堅企業に大きな影響を与えるため、政府や民間団体が適切な調整役となる必要がある」
と指摘した。
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朝鮮日報 記事入力 : 2012/10/30 10:15
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/30/2012103000789.html
鉄鋼大手ポスコ、商業施設を売却
韓国鉄鋼大手のポスコは、系列会社が保有する国内外の百貨店、ショッピングモール計3カ所を売却することを決めた。
ポスコは韓国財界6位で、今回の景気低迷局面で財界10位圏の企業が系列企業の資産をまとまった形で売却するのは初めてだ。
売却されるのは、海外ではベトナム・ホーチミン市の「ダイヤモンド・プラザ」、韓国国内では慶尚南道昌原市の大宇百貨店、釜山市西面の「セントラル・スクエア」で、アパレル販売のイーランドなどに売却を打診しているもようだ。
売却入札の締め切りは来月初めで、一括売却が不調に終わった場合には、個別に売却を進める方針だ。
財界からは
「世界経済が不透明さを増す中、韓国の大企業が本格的なリストラに入ったことを示す動きだ」
との声が聞かれ、ほかの企業グループにもリストラが拡大する可能性が指摘されている。
ポスコは世界的な鉄鋼の供給過剰と景気低迷が重なり、業績が悪化したため、非中核部門の整理を開始した格好だ。
今年第3四半期(7-9月)のポスコの営業利益は前年同期比25%減だった。
大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは先月24日、ポスコの格付けを「A3」から「Baa1」へと1段階引き下げている。
今回の売却は、2000年代半ばからポスコが系列会社を急激に増やし、放漫経営を行っているとの指摘を受けていたことも関係しているとされる。
ポスコの系列会社数は05年の17社から08年には31社、今年現在で70社に増えた。
ポスコは流通部門の売却に先立ち、自己資本割れを起こした系列企業を吸収合併する方式で、系列会社の数を25社程度削減する作業を進めてきた。
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朝鮮日報 記事入力 : 2012/10/31 09:07
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/31/2012103100609.html
【社説】誰がポスコをここまで追い込んだのか
鉄鋼大手ポスコは、子会社が所有している国内外のデパートやショッピングモール3カ所を売却する方針を固めた。
このようにポスコは現在、株式の売却や統廃合などにより、最終的に子会社の数を20社以上減らす作業を進めている。
ポスコの関係者は「鉄鋼や素材など、本来の事業を中心とする体制に転換する方向で改革を進めている」とコメントした。
ポスコは今年7-9月期の営業利益が8195億ウォン(約600億円)にとどまり、前期(4-6月期)に比べて23%ものマイナスを記録した。
米国の大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先日、ポスコの格付けをAマイナスからBBBプラスへと1ランク下げた。
世界鉄鋼業界はどこも供給過剰に伴う業績の悪化に苦しんでおり、業界再編の嵐も徐々に吹き始めている。
これは建設や造船などの不振とも大きく関係しているため、経営環境そのものが短期間で改善する見通しはない。
しかしポスコに関しては、業績悪化と経営のリーダーシップ不在の原因を、世界景気の後退だけに求めることはできない。
ポスコの問題を指摘する声は数年前からすでに出ていた。
政権交代が行われるたびに、経営陣の顔触れから経営の方向性に至るまで、時の権力者はポスコの非常に細かいところにまで介入を続けてきた。
2009年に入ると、李亀沢(イ・グテク)会長が任期を終える前に辞任し、後任を選ぶ際も政府の実力者が露骨に介入。
最終的に会長、社長や役員に至るまで、経営陣を自分たちの思い通り入れ替えてしまった。
特にこのときは朴永俊(パク・ヨンジュン)前知識経済部(省に相当)次官が会長候補者と1人ずつ面談し、自分の気に入った人物を指名するという形で会長が選ばれた。
面談の席にはポスコの下請け中小企業の経営者が同席していたことも後から分かったが、この経営者は大統領の兄の選挙区出身者だった。
つまり、政府は世界最高の鉄鋼メーカーに対し、地方の政府系企業と同じような感覚で経営者を選んでいたわけだが、もしこれで順調に業績が出ていたとすれば、その方がむしろおかしいのではないだろうか。
2008年の時点で31社あったポスコの子会社は、ここ最近70社前後にまで急増した。
しかし、そのうち29社は昨年赤字を記録。
赤字総額は2055億ウォン(約150億円)に達した。
韓国を代表する鉄鋼メーカーが、財閥グループを思わせるたこ足経営により、最終的に巨額の損失を出したのだ。
ポスコがここ4年間に企業買収に使った額はおよそ5兆ウォン(約3600億円)。
中には明らかに経営不振の企業を非常に高値で買い取ったケースや、前述のように鉄鋼とは関係のないデパートやショッピングモールに手を出したケースも見られる。
ポスコは韓国経済近代化のシンボルであり、国民の誰もが愛着と誇りを持つ企業だ。
このような企業に対して政府は好き放題に介入し、結果的に業績不振へと追い込んだ。
しかも現在、政府はポスコ株を全く保有していない。
従って政府は、ポスコの経営不振に対して責任があり、また経営陣も、何ら理念も持ち合わせず、権力の思いのままに会社を動かし、まるで財閥グループのような経営を行ってきた責任を強く自覚しなければならない。
ポスコは子会社を幾つか売却するだけで危機を乗り切ろうとするのではなく、この機会に問題点を全て洗い出し、本来あるべき正常な姿を取り戻すチャンスと考えなければならないだろう。
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朝鮮日報 記事入力 : 2012/10/30 10:17
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/30/2012103000797.html
大企業傘下の建設会社、経営の足かせに
景気低迷が長期化し、建設会社を傘下に持つ韓国の中堅企業グループは危機感を強めている。
熊津グループが傘下の極東建設に足元をすくわれ、グループ解体にまで追い込まれたことから「あすはわが身」という不安に駆り立てられている。
建設・不動産業界の不況で、系列建設会社は過去3-4年にわたり苦しい経営を強いられた。
こうした状況で景気がさらに悪化すれば、金融機関による支援引き締めに遭い、資金不足に直面する可能性がある。
実際に証券業界、金融業界では、資金難に陥っている中堅企業グループの実名がささやかれている。
大半は傘下に建設会社があるか、建設業を主力としている企業だ。
先月26日に熊津ホールディングスが企業再生手続き(日本の民事再生法に相当)を申請した原因も、建設業界が活況だった2007年に極東建設を買収したことだった。
熊津は極東建設に1兆ウォン(約727億円)近い資金をつぎ込んだが、結局は経営の正常化に失敗した。
保険業で安定した業績を上げていたLIGグループも経営再建だった建栄建設を買収し、財務状況が急速に悪化した。
暁星グループは2008年初め、攻めの買収で傘下に収めた進興企業のプロジェクト融資が不良債権化し、それがグループ全体に波及するのを防ぐため、多額の資金を投入している。
錦湖グループも大宇建設を買収した後、親会社の錦湖産業が債権団主導の経営再建手続きに入り、現在資金不足に苦しんでいる。
南光土建を買収した大韓電線、東亜建設を合併したプライムグループも資金難が避けられない状況だ。
問題は、建設不況が当面回復しないとみられることだ。
GS建設経済研究所のイ・サンホ所長は
「韓国の建設市場は2000年代半ばから成熟段階に入った。
世界的な不況は3-5年続く可能性が高く、建設業は低成長時代に直面することが避けられない」
と指摘した。
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【おもしろ韓国】
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